関節(肘)ロックで圧(押)す事について

関節(肘)ロックで圧(押)す事について 塾長コラム

今から15年ほど前

セミナー中の事。

このような
質問をする方がいらっしゃいました。

肘にロックをかけて
腕を棒のような感じで圧(押)した方が

私は良いと思うのですが?・・

「その理由としては、腕がブレない事です。」

「その方が
正確に・垂直に、圧(押)せると思うんです。」

ゴルフや
野球のバット

ビリヤード、といったスポーツだと

「正確に狙った場所に当てるために棒を使いますよね?」

「マッサージも、同じだと思うんです。」

なるほど
この方のおっしゃる事は

そんな風に言われてみれば、
確かにそんな気もします。

狙った場所に当てるには腕を棒にするのが良い?

ビリヤードのキューやバット、

ゴルフクラブなどは、
正確にコントロールするのに真っ直ぐな棒を使う。

確かにそう、
おっしゃる通りです。

同じように考えるなら

腕を棒にした方が、
狙った場所に当てやすいかもしれない・・

そうですね。

ただここで、
少し考えてみて欲しいのです。

例にあげた

  • ゴルフクラブ
  • ビリヤードのキュー
  • 野球のバット

これら全て

無機質な物という物体です。

人間からすると
意思疎通が通じない

あくまで

無機質な物体

なのです。

無機質な物体を操作するから
真っ直ぐにする、といった必要がある
のです。

それに加えて
もっと、ずっと細かく言うとしたら…

実際は真っ直ぐに先端

もしくは、
接触面に伝わるまでに

肩関節や、肘関節のトルク(回転させる力)

といった力が、必ず働いています。

それを、脳や神経が
筋肉、関節を正確にコントロールし

力加減、角度、スピードといった状態の
配分をしているのです。

だから
無機質な物を使う場合でも

その技量は、問われるし

難しいのです。

肘にロックをかけないと圧(押)せないのか?

実際、施術現場において

こんな心配を、されているかもしれません。

肘にロックがかかっていないと
正確に、圧(押)せないんじゃ?

もし、あなたが
そんな風に思っているのなら

その心配はいりません。

腕は、
筋肉がしっかりしていれば

自分の意識でコントロールして
動かす事が出来るんだ、という事を

知って欲しいのです。

自身の身体の一部を使うから

多少、肘が曲がっていても
(ロックをかけて棒にしなくても)

脳の機能が正常に働いていれば、

いくらでも
手関節、指関節で

圧(押)したい方向に、微調整出来るはずです。

空手やボクシング
合気道や太極拳などは

力を抜いて、
身体全体が柔らかい状態
にして行ないます。

ロックをかけなくても
正確に

急所(ツボ)にパンチを当てたり、
力を伝える事が出来るのです。

指圧やドライマッサージも同じなのです。

例えば
指を使って、物を掴む時に

指が、ぶれたりしますか?

前に物を押す時

肘にロックをかけないと
真っ直ぐに、押せないですか?

自分の
身体を使う
なら

自分の意思で
身体をコントロール
する事が出来ます。

仮に最初
手元が狂ってしまったとしても

すぐに正しい位置に
調整する事が出来ます。

ロックをかけて棒にしないと

正確に圧(押)せないというような事は、無いはずです。

むしろ
棒にした腕を

肩関節の回転でコントロールをする方が難しい
とも言えるのです。

オイルマッサージの場合は

オイルマッサージの場合は

滑らせるというのが前提にあります。

その場合なら
距離のあるストローク時については

ロックをかけて棒にしても、問題は無いと思います。

ただ、これについても少し
考えてみて欲しいのです。

現実には
あんまりない・・とは思いますが

滑らせている途中で
障害物に当たって、急激にストップ!
したとしたら・・!

その衝撃といったものが
身体に与える影響はどれほどなのか。

衝撃は、吸収されずに
肩関節にまでハネ返って来ます。

人によりますが

肘関節が外反・過伸展して
反り返っている人
であれば

肘関節にも
多大なるダメージを、受ける
事になります。

ドライマッサージの場合

常に摩擦力による
反作用が働いています。

施術時、
肘にロックをかけるという事は

こういった危険性があるという事を

常に、認識していなければなりません。

関節(肘)ロックで圧(押)す事は

男性や、
腕ががっちりしている人なら

関節(肘)ロックで圧(押)す事の問題は少ないでしょう。

ただ、
最初からロックをかけた状態では

圧(押)さない事です。

マッサージの動きの中で

最終的な所で
ロックをかける
のであれば

問題無いでしょう。

オイルマッサージを除く

多くの女性の方々や、体重の軽い人

このような方たちには

関節をロックして
圧(押)ことは推奨できません

今現在、指圧・マッサージ養成施設ですら
関節(肘)ロックで圧(押)す指導方法から

肘のロックを外して圧(押)す方法に
徐々に変化して来ています。

・・にもかかわらず、

現場では、多くの施術家が

肘関節にロックをかけて圧(押)すよう指導していたり
教えられたりしている、

というのが現状なのです。

伊原塾代表:伊原 秀紀
圧の法則~ソーステクニック・ボディケア

ソーステクニックは、体格に関係なく効率的かつ迅速に力を加える方法論です。